円満退社の準備
どんなにしんどい仕事でも、責任感から「何としてもやり遂げる」、「逃げてはダメ」と考え頑張り続けられる人がいます。一方では、頑張りすぎて「うつ病」や「睡眠障害、「統合失調症」を発症する可能性もあるのです。筆者もITエンジニアとして業務に携わっていた頃に、あまりの多忙とストレスから、「うつ病」を発症し、「解離性健忘」を併発しました。
多く人が「与えられた仕事は責任を持って全うしなければならない」という固定観念にとらわれています。ましてや、途中でやめてしまうことを「悪」と考える人もいます。しかし、あなたが身体を壊してしまっては元も子もありません。
筆者は、本当にどうしても辛くなったら退職や転職を考慮してもよいと考えています。あなたが健康で楽しい人生を送ることこそが意味のある人生だと思っています。
ここでは、様々な理由で転職を考えている方が、極力円満に退社するための方法などについて解説していきます。
円満退社のためのステップ
円満退社はあなたが考えている以上に需要なことかもしれません。なぜなら、人と人は思わぬところでつながっていることが多いからです。ましてや、転職先が同じ業界であったり、取引先の企業かもしれませんから。
退社に向けてのステップは以下の通りです。
①退職理由を整理する
②会社に退職の意向を伝える
③退職日を決定して退職届を提出する
④担当業務を整理して引き継ぎを行う
⑤退職手続きを確認する。
⑥関係者に退職の挨拶をする
上記を順番に解説していきます。
①退職理由を整理する
・「待遇が悪い」や「仕事がつまらない」などネガティブな発言を避ける。
・「さらなるスキルアップのため」など前向きな気持ちを伝える。
・多くを語らずに「一身上の都合による」としてもよい。
②会社に退職の意向を伝える
・業務の引き継ぐが必要な場合は、事前に引き継ぎ資料を用意する。
・直上の上司に退職したい旨を伝える。
・正式な退職日程は、上司と相談の上、決定する。
・必要に応じて引き継ぎ資料を提示する。
・有給消化をしたい場合は、このタイミングでその旨を伝える。
・引き留められても、自分の意思をしっかりと伝えましょう。
③退職日を決定して退職届を提出する
・退職日の決定は、引き継ぎに必要な人材や時間を考慮して必ず上司と相談して決定する。
雇用契約上、あなたまだ会社の社員であるため、現在の業務に支障を来してはいけません。
④担当業務を整理して引き継ぎを行う
業務を引き継いだ後任者は、引き継がれた資料を頼りに業務を遂行していきますので、後任者がしっかり業務をこなせるように、引き継ぎの際には、担当業務の目的や要点、注意点、資料の保管場所などを正確に引き継ぐ必要があります。
・企業の信頼や生産性の維持、後任者への負担を十分に考慮してしっかりと引き継ぎを行う。
・後任者への引継ぎと残務処理にかかる時間を割り出して引き継ぎスケジュールを作成する。
・担当業務の整理や、関係書類は業務別もしくは取引先別に区分する。
引継ぎ資料の例:
| No | 項目 | 業務の詳細(トラブル事例等) | 関係者の連絡先 | 資料の保管場所 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | ||||
| 2 | ||||
| 3 |
⑤退職手続きを確認する。
退職日までに名刺、身分証、社員証、入館証、ロッカーの鍵、社用携帯などの返却準備をする。
また、健康保険被保険者証は退職日付けで失効するため速やかに返却しましょう。
なお、最終出勤日のあとに残った有給を消化する場合は、休暇中は在職とみなされるため、有給消化の最終日が退職日(=失効日)となります。
退職日に会社から受け取るもの
・雇用保険被保険者証
・年金手帳
・源泉徴収票
・離職票
⑥関係者に退職の挨拶をする
お世話になった方々に感謝の気持ちを伝えることは非常に重要なことです。午前中は電話対応や一般業務などで忙しい会社が多いため、退職の挨拶回りのタイミングは、15時以降に実施するのがよいでしょう。また、15時以降でも上司や同僚は業務中であるため邪魔にならないように気をつけます。そして笑顔で感謝を込めて挨拶することで良い印象を残すことができます。
・直接会えない場合は、書面やメールなどで挨拶をする。
・菓子折などを持参してお世話になった方々に挨拶をするのもよいでしょう。
・定時に退職の挨拶を求められる場合は、事前に簡単なスピーチを準備しましょう。
【20代】転職に適した時期
人生における転職時期でいうと、20代は転職に有利な時期です。
20代は、まだ第二新卒と見なされ、新入社員同様に扱ってもらえる場合があるため、転職に有利な時期だといえます。
ただし、20代で転職を繰り返している場合は採用側の心証は悪いでしょう。
そのため、現在の職場である程度実績を積んだ方が良いと考えられます。
20代で実務経験が3~5年以上ある場合のキャリアップ転職には、仕事の幅を広げたり、スキルアップしたり、年収を上げたいなど様々な目的があります。
ここ近年では、企業はスキル重視の傾向にあり、30代以上になるとさらに専門スキルが重視されるためキャリアチェンジが難しくなります。その中でも20代だからこそ新しいキャリアチェンジという道を選択することも可能です。
【30代】転職に適した時期
30代では、30代前半と後半に分類されます。
一般的には30代後半は前半と比べて、実力がないと市場価値が低い傾向にあります。
30代前半では、「基本的なスキル」に加え「責任ある立場の経験(プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーなど)」を持つ人材(即戦力)が比較的市場価値が高い傾向にあります。
一方で、30代後半ではこれまでの実績にとらわれやすく、新しい会社に順応しにくくなるため、よほどの優れたスキルやキャリがある場合を除き市場価値は低い傾向にあります。ましてや、未経験の業種への転職は、かなり難しい状況と言えます。
【40代】転職に適した時期
人材不足と言われる転職市場ですが、40代の転職は厳しいのが現状です。
人生において40代という時期の転職は、年齢が壁となる可能性も大きく、20代~30代の若手と比較して求人数が少ないなどという理由から慎重に物事を運ぶ必要があります。
厚生労働省において従業雇用の支援策では、「求人募集や採用で年齢制限をかけることは原則として禁止」されていますが、企業では35歳以下の応募という年齢制限をかけていることが多いのが現状です。
また、総務省の労働力調査によると、転職活動を行っている35歳以上の約3割が転職するまでに1年以上かかったという結果も出ています。さらに、採用担当者が20代・30代と年下の場合、「自分よりも年上だと現場では扱いづらい」などが理由で採用を見送られる可能性もあります。
では、40代に求められるスキルとは何でしょうか? それは「マネジメントスキル」です。
この理由として、20代~30代ではこれからスキルアップを狙えるモチベーションの高い人材が多い反面、ある程度スキルや経験を持っている40代ではマネジメントスキルが求められる傾向にあります。そのためには、現職である程度マネージメントスキルを磨いた後に転職を考えるなど対策が必要と考えます。